和名 スジゲンゴロウ
学名 Hydaticus satoi  Wewalka, 1975  近年の分類ではProdaticus satoi (Wewalka)とする意見もある.
分類 鞘翅目ゲンゴロウ科

 

写真は準備中です.

 

この虫の特徴 体長12㎜~14.5㎜程度.体型はやや長い卵形.背面の大部分は黒色であるが,頭部前半部,前胸背の両側,上翅の両側の2条が黄褐色である.以前は水田などにも多かった種であるが農薬による水質の変化などにも極端に敏感な種でもあるのか,1960~1970年代を境として各地での記録が途絶えている.もっとも最近の記録でも1988年の静岡県の記録のようであるが,兵庫県,愛知県などのレッドデータリストでは絶滅種として指定されている.
ゲンゴロウ類などの水生昆虫の中でも今後の発見がもっとも期待される種であるが,九州や本州の昆虫研究者への聞き取り調査などでも標本や分布状況の情報は得られなかった.残念ながら全国的にも絶滅した可能性は否定できない.

生活史 外来生物(オオクチバスやアメリカザリガニなど)の見られない,水性の植物が多い本来の自然豊かな湖沼や水田などに生息する種である.幼虫・成虫共に水中で生活し,成虫は灯火にも飛来し,ほぼ通年見られる.幼虫は蛹化のために上陸し土中に入る.

えさ 小昆虫など

出現時期 6月~10月

分布 本州(関東以西)~九州(対馬,県本土)

よく似た種類との区別 本種とよく似た種で「シマゲンゴロウ(Hydaticus bowringi Clark)」が全国に分布している.この種は上翅の斑紋で「スジゲンゴロウ」とは区別できるが,「シマゲンゴロウ」も各地で減少していることが確認されている.

写真は,沖縄本島のスジゲンゴロウ「オキナワスジゲンゴロウ(H.vittatus)」である.分布は屋久島以南で,上翅の2本の黄色斑の融合が「スジゲンゴロウ」より前方になることで区別される.「オキナワスジゲンゴロウ」も沖縄県では絶滅危惧種に指定されている種である.

 

シーボルトコレクション 1820年代にシーボルトが日本で集めた昆虫標本は,現在,オランダ国立自然史博物館(NCB Naturalis)に収蔵されている.以下の写真は,長崎SSH科学プロジェクトの調査団が,2013年に同博物館で取材したものである.

 

シーボルトコレクションのすべての写真の著作権は,オランダ国立自然史博物館(NCB Naturalis)にある.
ここに表示したシーボルトコレクションの写真は,オランダ国立自然史博物館の写真利用許可を得たものである.
写真の無断使用を禁ずる.
The copyright of the photos and or compilations of the photos taken from the "Von Siebold" collection remains with NCB Naturalis, Leiden. All the photos of the "Von Siebold" collection are permitted under the agreement between NCB Naturalis and Nagasaki SSH Science Project. Don't use or copy any images.

 

記載:松尾 照男, 田中 清

写真:松尾 照男

写真(シーボルトコレクション):田中 清, 長嶋 哲也 

 

 

 

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