昆虫採集
1.採集用品
採集用品は,DIY量販店などで購入するか,材料を購入して自作する.その他,専門店で購入したりするとよい.専門店としては, 志賀昆蟲普及社(東京),むし社(東京)昆虫文献六本脚(東京),コブチ教材(長崎)などからの入手が可能である.
(1)捕虫網
8mの長竿(捕虫網)
(2)叩き網
白い正方形の布の対角線に竹の棒を十字型にはめ込んだもの.そしてこの布に虫を落とすために叩き棒からなる.
(3)灯火採集用具
①ライト:ブラックライト,水銀灯,ブルーライトなど.
②白布:シーツ2枚程度の大きさ.
③固定枠:ライトや白布を固定する.
④発電機.
(4)その他の用具
①三角ケース:採集したチョウやトンボなどを持ち帰るための容器.
材質:皮,鉄,アルミニウム,プラスチック 大きさ:大(トリバネ用),小(一般用)
②三角紙:三角ケースの中に入れておくパラフィン紙.虫の大きさに合った三角紙を用いる.
③毒ビン:ガラス製でコルク栓が一般的.綿に毒をしみこませて使用する.
④毒ツボ:毒ビンより大きく,大型の虫に用いる.
⑤吸虫管:特に小型の虫(数㎜)を吸い捕るために用いる.
⑥その他:虫を朽ち木や土の中から掘り出したり,朽ち木とともに生かして持ち帰るために用いる.
ピッケル(鉈) ノコギリ スコップ 水網(水生昆虫) ピンセット
虫かご 密閉容器(タッパー) ポリ袋 クーラーボックス
2.採集方法
(1)捕虫網
昆虫採集といえば捕虫網が連想されるほど一般的.これを用いれば,たいていの昆虫は採集可能である.うまく採集するためには,それぞれ虫の性質に合わせて振り方やかぶせ方に工夫するとよい.
(2)叩き網
葉や枝上でじっとしている虫や小型の虫は,棒で枝や茂みを叩いて虫を布の上に落として採集する.落ちた虫は逃げようとするので,素早く吸虫管や殺虫管などに入れる.
(3)灯火採集
ガ,甲虫,セミ,カメムシ,ヨコバイなど多くの昆虫は光に誘引される.ライトの効果を上げるため月が出ていない夜がよい.また,蒸し暑くて風がない夜は,よく虫が集まる.樹林が見渡せる開けた場所で行うのがベスト.夕方の明るい時間帯にあらかじめ用具をセットして,点灯した状態で暗くなるのを待つ.
灯火採集の様子
(4)朽ち木・キノコ採集
森の中で立ち枯れや倒木,伐採木,切り株などを発見したら,ピッケル(鉈),ノコギリ,スコップなどで崩してみる.すると,カブトムシ,クワガタムシ,コメツキムシ,コガネムシ類,オサムシ,ゴミムシ,ゴキブリ,クチキコオロギなどが発見できるかも知れない.キノコの傘の裏を観察すると,キノコムシ,ケシキスイ,ハネカクシ,キノコバエなどが隠れている場合が多い.
(5)罠(トラップ)採集
①落とし穴
目的の昆虫がいそうな場所の地面に,紙やプラスチックのコップを埋め,中に誘引用の餌を入れて放置する.これを定期的に観察して採集する.餌としてサナギ粉,オキアミ,肉,カルピスなどが用いられている.
②網トラップ
板の上に誘引用の餌を置き,板に一定の間隔を空けてネットを取り付ける.これを木の枝に吊す.餌として熟果や発酵させたバナナなどが用いられている.チョウなどに用いられる.
③ストッキングトラップ
ストキングを25㎝程度に切って,中に発酵したバナナなどを入れて木に括り付ける.
④ペットボトルトラップ
加工したペットボトル(野村ホイホイ)を用いる.水生昆虫用なら餌(魚肉など)と重りを入れて水底に沈める.甲虫用として発酵したバナナなどを入れて木に括り付ける.
【野村ホイホイの作り方】
2リットルのペットボトルの,上部を虫が入る大きさの穴ができるように切り取る
さらに上部1/4を切りはなし,底のある方に逆さまに差し込む
中に採集したい昆虫の好む餌を入れる
⑤衝突板トラップ(FIT―フィット)
FITはフライト・インターセプト・トラップの略.透明プラスチック板などで地面に垂直な仕切りをし,それに衝突して落ちた昆虫を水盤などで回収するもの.仕組みは簡単だが,多種類の甲虫を採集することができる.
⑥パントラップ
水を張った浅い容器を地表面に置いておく.予想以上に虫が飛び込む.容器の色は黄色が効果的である.
⑦パイプトラップ
直径数㎜~1㎝の管(竹,塩化ビニル,プラスチックなど)を40㎝程度に切り束ねて水平に吊して置く.ジガバチやドロバチなどが飛来して繁殖する.
⑧獣糞トラップ
牛糞などをわけてもらい地面に置く.翌日から糞の中や地面の下を掘ると多くの糞虫類を発見できる.
⑨スイカトラップ
スイカを半分に切って中身を出してしまう.半球状で中が空洞になったスイカの皮を草むらなどの地面にかぶせ,一端に棒や石を利用して少し隙間を作って置く.バッタやコオロギなどが集まる.
トラップ設置の様子