長崎県の高校生による昆虫研究


 長崎県の高校生による昆虫の研究は,これまでに部活動(生物部など)あるいはSSHでの課題研究として数多く行われてきました.過去25年間の記録をみてみると,昆虫の特定の種類にテーマを絞った研究や大きなグループ(蛾類相,水生昆虫相)を対象にした研究も含めれば30件を越えています.この中には個人で研究されたものや,共同研究で取り組まれたものがあります.
 研究期間は2~3年が多いようですが,甲虫やトンボについては5年以上の継続研究もありました.研究内容は生活史,種間関係,分布,行動,生態,遺伝様式,遺伝子(塩基配列)と多岐に及んでいます.そして,それらは内容,質ともに優れており,ほとんどが県大会で優秀な成績を収め,日本学生科学賞などの全国大会でも入選・入賞しています.
 昆虫の研究では,まずフィールドで観察・調査することから始まり,そこに研究テーマを見いだします.疑問に思ったことから仮説を設定し,その仮説を検証するために調査を重ねたり室内での飼育・実験を行います.ここで大切なことは,フィールドでの活動です.フィールドから学び検証することを抜きにして,昆虫の本当の姿を知ることはできないでしょう.フィールド調査は,昆虫だけではなく昆虫の食草である植物や捕食者である多くの生物,そしてその環境についての知識を増やし理解を深めることに,とても役立つのです.室内で検証実験を行った結果も,フィールドでの様子と照合することで,本当のストーリーが見えてくるでしょう.
 何気ない昆虫の行動に疑問を持ったことから始まった研究に,心が躍るような発見が待っているかもしれません.みなさんも,下の表のようなこれまでの研究に続いて,新たな研究テーマに挑戦して欲しいと思います.

 

昭和61年(1986年)~平成22年(2010年)に長崎県内の高校で行われた昆虫に関する研究とコンクールでの評価

目名(種数)

種名または属名

県科学研究発表大会・日本学生科学賞

鱗翅(6)

クロツバメシジミ

入選1等

クロマダラソテツシジミ

優秀賞(県科学)

モンシロチョウ

入選2等

タテハモドキ

環境大臣賞

オオミノガ

入選2等

メイガ(新種ツチトリモチマダラメイガ)

入選3等

鞘翅(9)

ハンミョウ

入選2等

クワガタムシ科

入選2等

ヒラタクワガタ属

入選2等

ハナムグリ亜科

全国科学教育振興委員会賞

シロテンハナムグリとシラホシハナムグリ

優秀賞(県科学)

ホタル属(1報、2報)

入選3等、入選2等

トゲムネミヤマカミキリ

入選1等

ヤシオオオサゾウムシ

環境大臣賞

アルファルファタコゾウムシ

環境大臣賞

蜻蛉(3)

ハッチョウトンボ

入選2等

グンバイトンボ(1報、2報)

優秀賞(県科学)

カワトンボ(ニシカワトンボ)

優秀賞(県科学)

直翅(1)

クツワムシ

県最優秀賞

半翅(2)

タガメ

入選3等

セジロウンカ

入選1等

脈翅(1)

ウスバカゲロウ(アリジゴク)

入選1等

双翅(1)

ハナアブ

讀賣新聞社賞

膜翅(1)

カブラハバチ属

入選3等


田中清

 

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