Vol.1 No.1

夜間の月面における自然エネルギーを利用した発電方法

Vol.1 No.1
研究要旨

 月は地球に同じ面を向けたまま約28 日の周期で公転している。従って,月から見た太陽の運動は約28 日周期となり,日光が当たる時間(昼)が約14 日間(2 週間)連続した後,暗黒の時間(夜)も同様に2 週間続く。太陽エネルギーの得られない2 週間について,太陽光発電以外の方法でエネルギーを得る方途の模索は,月面への移住,あるいは月面基地の設置を考えるにあたって不可欠といえる。そこで,本研究では,太陽光発電以外の自然エネルギーの活用について検討・提案することを目的とし,夜間の持続可能な発電方法として「バイナリー発電」の実現可能性について考察する。

 月面の夜は2 週間続き,地表温度は-170°C に低下する過酷な世界である。このような環境下には,利用可能な自然エネルギーは一見存在しないように思えるが,0.4 m 程度掘削した地表面下では,-22°C 前後の一定の温度に保たれているという報告がある(Paige et al. 2010)。この150°C 近い温度差は,夜間の月面で得られる自然エネルギーとして多大なポテンシャルを有すると期待される。そこで本研究は,地中熱との温度差で動作するバイナリー発電が,夜間の月面で稼働できるための適切な熱媒体を選定し,夜間の有効な発電方法の確立を試みた。

著者

桒原 幹人・的野 祥人・北尾 早来紗・扇 芽衣・衛藤 直純・田中 潤

Title

A progressive method to generate nocturnal electric power using the lunar natural energy

Abstract

Since nighttime lasts two weeks per month on the moon, any human activity using energy from a photovoltaic system is limited. Therefore, this paper suggests a method of generating electrical power sing the moon’s natural energy during nighttime; specifically, a ‘binary cycle power generation system’ to harvest constant energy by utilizing an approximate temperature gap of 150°C between -22°C of the underground temperature and -170°C on the lunar surface. Using a 13.1 t/h flow rate of carbon tetrafluoride (CF4) as a refrigerant to determine the optimal turbine inlet and outlet conditions in pressure and temperature (2.0 MPa/-46°C and 0.05 MPa/-138°C, espectively), the generated electric power was eventually estimated as 100 kW.

Author

Kuwahara M., Matono S., Kitao S., Ogi M., Eto N., Tanaka J.