衛星データ監視システムの構築 — 応用例としての赤潮アラート
研究要旨
Microsoft Power Automate(以下MPA と略記)には,クラウド上で作業の自動化ができる機能が具わっている(岩本2021)。長崎県では令和3 年度より,一人一台パソコンが全生徒に配付されるようになり,学校や自宅でのICT 活用が日常化した。長崎東高校では全生徒がMicrosoft Teams を利用し,諸連絡や課題提出などに頻用される。その機能の一つとして,プロセス自動化サービス(RPA)のMPA というものが存在する。プログラミング知識がなくても,様々な部品を組み合わせるだけで作業の自動化ができ,パソコンの電源が切られている状態であっても,随時必要な作業がクラウド上で自動実行される(例えば,毎日同時刻に翌日の学校行事の連絡等を自動投稿する,あるいはクラウド上に必要資料がアップロードされるごと自動的に通知されるなど)。この機能を応用することで,世界中のWeb サーバーで日々更新される衛星データを自動で収集し,生活の役に立つ情報をタイムリーに伝達するシステムを構築できると考えられる。
MPA を活用することにより,クラウド上で定期的にプログラムの自動実行が可能となり,インターネット上で日々自動更新されている様々な衛星データを監視するシステムを,誰でも比較的簡単に構成することができる。衛星データは研究者のみならず一般にも広く無料で開放されているため,自由な発想とアイディアを巧く組み合わせることで,生活の役に立つデータを新たに提供できる可能性は大きく広がる。
本研究では,Web 上にある実際のデータをクラウド上で扱えることを確認し,今後どのような人工衛星を打ち上げれば,必要な情報が広範に有効利用できるかどうか検証を試みた。そのひとつの応用例として,赤道直下をくまなく観測できる衛星を打ち上げ,その衛星データを監視し「赤潮アラート(警報):Red Tide Alerts」を随時タイムリーに発信できるシステムを考案したので,この機会に提案しておきたい。この技術には,熱帯域の途上国や新興国における栽培漁業をサポートするといった副次的効果も期待される。
著者
田中 玲衣・松本 華子・松尾 日菜子
Title
Creation of a satellite data monitoring system — an example applicable to ‘Red Tide Alert’
Abstract
Utilizing the ‘Microsoft Power Automate’ or a service that enables work automation in the cloud, a system was created to monitor web data. The system sends email alerts when pre-determined conditions are met, allowing us to provide information corresponding to regional and individual needs. For instance, if we can launch a satellite that can observe the equator worldwide, we will be able to construct a particular system that enables to analyze the satellite data and to issue ‘Red Tide Alerts’ immediately. The system will contribute to international aid for fish-culture in developing nations.
Author
Tanaka, R., Matsumoto, H., Matsuo, H.