Vol.1 No.3

長崎県壱岐島において約半世紀ぶりに再発見されたアユ

Vol.1 No.3
研究要旨

 アユ Plecoglassus altivelis(Temminck & Schlegel, 1846)は,本邦ほぼ全域の河川に生息し,日本人に馴染み深いキュウリウオ科(Osmeridae)の魚類である。長崎県下でも対馬,平戸,五島を含む多くの河川に生息することが知られている(東・柴原 1989)。一方,壱岐島においては,1976年7月27日,谷江川中流域で投網により捕獲された1個体の採集例があるにすぎず,壱岐河川での繁殖が疑問視されていた(東ら 1977)。筆者らは,2023年5月27–28日,長崎県立大村高等学校が長崎県壱岐島において実施した淡水魚類調査の際,約 46 年ぶりにアユの生息を確認した。アユの人工放流による遺伝的攪乱が問題視される今日,これまで明確に記録されていなかった壱岐島産個体群の各部計測値を示すとともに,その生息状況について簡単に報告する。なお,今回のトピックは,地元の新聞において取り上げられたことを付記しておく(壱岐新聞 2023)。

著者

太田 翔

Title

Redescovery of the Ayu sweetfish, Plecoglassus altivelis, on Iki Island, Nagasaki Prefecture, Japan

Abstract

The Ayu sweetfish, Plecoglassus altivelis (Temminck & Schlegel, 1846) (Osmeridae), is reported from Iki Island, Nagasaki Prefecture, southwestern Japan, for the first time since its single specimen was captured in 1976. Measurements and brief note on habitat information are provided for the rediscovered population on the island.

Author

Ohta K.