ヒマワリの向日性と蕾が東を向くメカニズム
研究要旨
ヒマワリの花は,その名の通り太陽を追いかけるように方向を変えると考えられている。しかし,それは花蕾の時にみられる生長運動の一環にすぎず,太陽の光を遮るようなものが近くにない場所で生育させると,開花と同時に東を向いて止まることが知られている(Winslow 2016)。本研究では,ヒマワリがなぜ東を向いて開花するのか,そのメカニズムの解明を試みた。
ここでは,「ヒマワリは開花すると東を向く」という現象を「ヒマワリは開花すると朝日の方角を向いて止まる」と仮定した。朝と昼の太陽光の違いの一つは,その光に含まれるスペクトルの違いである。朝日は,昼間の太陽光より長波長の光の割合が大きい。そこで,「ヒマワリは,長波長の光源に対して正の光屈性を示し,蕾を光源に向ける」という仮説を設定し,検証を行った。ヒマワリを温室で生育させ,南側の窓からの自然光と真上から照射する生育ライトを基本の光条件として,自然光より水平となる 90°の角度から短波長光と長波長光を照射する実験を行った。その結果,長い波長の光を当てたヒマワリの蕾が光源の方を向くことが示されたので報告する。
著者
緒方 悠太・松尾 友生・吉田 椋・柊元 颯人・長嶋 哲也
Title
Heliotropism and the principles behind sunflowers facing east
Abstract
The flower-buds of sunflower, Helianthus annuus Linnaeus (Asteraceae), are known to follow the direction of the sun. Nevertheless, they always face east when they bloom. The present work attempted to verify how the flower buds move, under long and short wavelengths of light. Ultimately, our findings suggest that the sunflower buds which were exposed to longer wavelengths of light, tended to turn towards the light source.
Author
Ogata, Y., Matsuo, T., Yoshida, R., Fukimoto, H. & Nagashima, T.